vol.22 口腔ケア

~歯磨きと何が違うの?健康によいの?~

 

「口腔ケア」とは何ですか?

歯・歯肉を清潔にするだけでなく、口腔全体の清潔を目指し、口腔機能の増進、賦活化を行い、口腔だけでなく、全身の健康保持とQOL(生活の質)の向上を目標とするのが口腔ケアです。口腔清掃などの器質的口腔ケアと、口腔機能回復などの機能的口腔ケアに分けられます。その他、口腔内保湿・歯科的治療も口腔ケアに含まれます。

 

口腔ケアの目的は何ですか?

口腔ケアの目的は、以下の通りです
①おいしく食事を食べる ②むし歯、歯周病の予防 ③口臭の予防 ④味覚の改善 ⑤唾液分泌の促進 ⑥誤嚥性肺炎の予防 ⑦入院手術患者の合併症予防、入院期間短縮 ⑧がん放射線治療や化学療法の合併症を減らす ⑨口腔機能の維持・回復


口腔ケアは、口腔および全身の健康を守るためにとても大切です。高齢化社会の現代では、認知機能の低下予防や要介護状態の高齢者の栄養状態改善などにも必要です。

 

口腔ケアにはどのような方法がありますか?

歯がある方は、毎食後歯ブラシでの清掃が基本です。
さらに、1日1回はていねいに磨くようにしましょう。夜寝ている間は唾液の分泌量が減少し歯垢が停滞しやすいので、特に夜寝る前が効果的です。歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助用具もあわせて使用すると清掃効果が高いです。義歯を使用している方は義歯もきれいにしましょう。


舌に苔が生えたように白くなった舌苔がある場合は、舌ブラシを使って奥から手前に向かって軽くこするようにします。抗がん剤による口腔粘膜炎などにより、どうしても歯磨きが難しい場合はスポンジや綿棒を使用したり、うがいだけでもこまめに行うようにしましょう。


口腔乾燥が気になる場合、原因を取り除くのが難しいときは口腔清掃後に保湿剤を使用するのもよいでしょう。

 

口から食事をとれない場合でも口腔ケアは必要ですか?

必要です。口腔内の唾液1㎖中には1億個以上の細菌がいるといわれています。経管栄養などで口からの食事をしていない方の口腔は唾液による自浄作用が低下してしまい、その数は増加します。誤嚥性肺炎(=細菌が唾液や胃液とともに肺に流れ込んで生じる肺炎)の予防のためにも口腔の清潔を保つことが重要です。


また、口腔ケアを毎日続けることにより、唾液腺、頬や口唇など口腔周囲の組織が刺激され、唾液分泌促進や摂食・嚥下障害の予防・改善につながります。

 


 

栃原 義之 (とちはら よしゆき) 

栃原 義之 (とちはら よしゆき)
恵佑会札幌病院歯科部長。1985年、北海道大学卒業。日本補綴歯科学会指導医・専門医、日本顎顔面補綴学会認定医。

田村 香織 (たむら かおり)


田村 香織 (たむら かおり)
恵佑会札幌病院歯科衛生士主任心得。