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- 食道がん
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2003年の日本の食道がん罹患数(食道がんになった人)は男性13,658人、女性2,742人、合計16,400人です(がんの統計‘09財団法人がん研究振興財団による)。北海道が日本の人口の5%と計算すると、食道がんは毎年820人発生する計算となります。2009年に恵佑会札幌病院に入院した食道がん患者さんは347人ですので、北海道の40%以上の食道がん患者さんが入院治療したことになります。
日本では1年間に食道がんでおよそ1万人が亡くなっています。食道がんはがんの中でも治療困難ながんの一つですが、最近では診断や治療法が進歩して、治る例が以前より増えています。
食道がんの原因については解明されていない部分が多いのですが、一般的には喫煙や飲酒等ががん発生に影響していると言われています。50歳以上の男性に多く、特に喫煙・飲酒歴の長い人は1年に1回の内視鏡検査をお勧めします。
症状としてはつかえ感が一番多いのですが、早期のがんでは多くの場合症状がありません。 診断方法として、内視鏡やバリウムなどの検査があります。早期がんの発見のために、入念な内視鏡検査を行います。検査の際は、ヨードを塗布(かける)します。ヨードを塗布するとしみて辛いのですが、早期のがんを見逃さないためには重要です。バリウム検査は、病巣の広がりや深さなど全体像の診断に必要です。内視鏡的超音波検査(EUS)は、がんの深達度やリンパ節転移の有無などの診断に重要です。
- 治療方針
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当院では、御本人や家族の希望も十分に考慮しながら治療をいたします。沢山の情報がありますが、各治療法には利点・欠点がありますので、専門医より説明を受け、しっかりと理解することが必要です。食道がんの治療法には、切除、放射線治療、化学療法(抗がん剤)、放射線化学療法がありますが、これらを複合的に組み合わせた治療法もあります。

- 1)切除
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一般的には、外科切除を意味します。食道がんは頸部、胸部、腹部のリンパ節へ広範囲に転移することが多く、この3つの領域の徹底的リンパ郭清を伴う食道切除再建が標準術式です。 頸部、右胸部、腹部の三か所の傷がつきます。食道が無くなりますので胃を頸部まで持ち上げ、食道の代わりにします。
手術時間は4~5時間、平均4時間30分、出血量は400ml前後です。 胸腔鏡を使って胸部の操作を行う鏡視下手術が注目されています。胸の傷は2~3cmのものが4~5ヶ所だけで、大変素晴らしい術式ですが、食道がんはリンパ節転移が多く、しかも広範囲に転移します。十分なリンパ郭清を行っている、経験豊富な施設でご相談ください。
内視鏡的に切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)あるいは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。これらは全ての症例にも適用出来るわけではなく、リンパ節転移のない粘膜がん(表面の浅い部分のがん)について治療可能です。従って術前の検査が極めて重要となります。
最近様々な治療が行われていますが、手術前の診断が必ずしも全面的に信頼出来る訳ではありません。深達度(がんが食道壁のどこまで浸潤しているか)は80~90%、リンパ節転移の正診率(診断が正しかった率)は60~70%ですので、治療法を決定するにはこれらの事も考慮する必要があります。
- 2)放射線治療
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外科手術と同様、食道がん治療の主たる治療法の一つです。根治治療ではおよそ6週間かかります。決定するにはこの事も考慮する必要があります。
- 3)化学療法
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食道がんでは現在のところ、根治的治療として抗がん剤単独の治療はありません。血行転移(肺、肝臓などの転移)がある例や、再発例に行われます。一般的には手術や放射線照射と併用されます。
- 4)放射線化学療法
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最近注目されている治療法です。以前からあった治療法ですが、放射線照射範囲が広い、放射線照射と抗がん剤投与を同時に行う、放射線線量も抗がん剤の用量も多いなど従来の治療法とは異なる治療法です。治療法としては必ずしも体に優しい治療法ではありませんが、食道や胃の機能を残すことができ、手術の傷がないなど多くの利点があります。全国的にも限られた施設でしかできない治療法です。
- ※重複がんについて
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がん患者さんの他の臓器にも別のがんが発症することがありますが、これを重複がんといいます。食道がんは重複がんの多いがんとして知られています。食道がんの患者さんは食道以外の臓器にがんが出来やすく、また他のがんになった人が食道がんになりやすいことが分かっています。当院では食道がん患者さんのおよそ20%は重複がんです。その臓器としては、舌、口腔、咽頭、喉頭、肺が代表的です。日本人に多い胃や大腸のがんとも重複することも多いです。
- 治療実績
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1981年開院以来2009年12月迄に入院された全食道がん患者さんは4,326人です。治療法は時代と共に変化するため、1995年1月以降2009年12月迄の3,311人の治療法を抽出いたしました。この期間において1番多かった治療法は切除61.7%(2,044人)であり、その内訳として、外科的切除が45.5%(1,506人)、内視鏡的切除が16.2%(538人)となっています。外科的切除の中には5.5%(181人)の鏡視下補助手術が含まれています。
切除以外の治療(非切除)は、38.3%(1,267人)です。この患者さん達への治療は、放射線単独治療7.9%(262人)、放射線化学療法17.3%(574人)、化学療法単独2.0%(67人)でした。残りの患者さん達にも症状緩和の何らかの治療がされています。
治療後5年以上生存する割合を『5年生存率』で表わしますが、食道がん切除後の全患者さんの5年粗生存率は63.2%(食道がん切除治療を受けた全員の生存率、がん以外で亡くなった人も含む)、そして5年原病生存率は70.8%(食道がんのみの原因で亡くなった人)でした。もちろん、がんの進行度(進み具合)により成績が大きく違います。他の治療法の成績もありますが、患者さんの背景(進行度)が異なっているため省略いたします。
食道がんは今後も診断や治療の面で変化していくと思われます。恵佑会札幌病院では最新の情報を説明しながら、豊富な経験に基づいた診断と治療を行ってまいります。
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