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- 胃がんについて
最新の統計によると日本では1年間に約5万人の方が胃がんで亡くなられています。1960年代以降胃がんで亡くなられる方は、年々減少していますが、罹患数に大きな変化はなく、現在も胃がん患者数はわが国のがん患者の第1位を占めています。
胃がんは、古くから日本人にとってなじみの深いがんであることから、その診断技術・治療水準は、世界のトップクラスにあります。
- 診断
- 治療
以前は、胃がんはかなり進行した状態で見つかることが多く、診断は容易でした。しかし、内視鏡やバリウムによる診断技術の進歩とともに、早期診断が可能となりました。早期発見は、従来の画一的な胃切除であった治療方針にも変化をもたらしました。
胃がん治療については、日本胃癌学会より「胃癌治療ガイドライン」が公表されており、一般の方もインターネットや冊子による閲覧が可能です。ガイドラインは多数の施設のアンケート調査に基づき最も広く行われている「科学的根拠」を有する治療を示したものです。当院では本ガイドラインを参考にし、当院独自の科学的根拠を加味して治療方針を決定しています。
- 恵佑会札幌病院の治療方針
- ○術前の検査
術前検査には約1週間が必要です。検査は入院・外来のどちらでも可能です。治療方法決定のために病変の評価・他疾患の有無をチェックします。行う検査は以下のとおりです。
上部消化管内視鏡・上部消化管造影・超音波内視鏡・胸腹部CT・腹部MRI・下部消化管内視鏡・PET-CT・胸腹部レントゲン・採血・心電図・呼吸機能検査など
すでに他院で行われた検査は、可能な限り重複を避けます。
- ○治療方法
恵佑会札幌病院では胃がんの治療方針を各科の医師が集まり、疾患の状況と患者さんの状態を検討した上で決定しています。治療上最も優先されることは根治性の高さであり、第2に治療後の生活の質の高さです。
- 早期胃がん
- ■内視鏡治療
内視鏡治療は、胃を温存できることが利点です。しかし、胃の壁全層を切除できず、胃の壁の外側にあるリンパ節の摘出も不可能です。したがって、この治療法が適応となるのは、以下の条件を満たすものです。
- ・内視鏡検査で2cm以下の粘膜内病変で潰瘍を有さない分化型病変
- ・生検組織が分化型で2cmを超える潰瘍性変化がない粘膜病変
- ・生検組織が分化型で潰瘍性変化を認め、腫瘍径が3cm以内の粘膜病変
- ・生検組織が未分化型で潰瘍性変化を認めない腫瘍径が2cm以内の粘膜病変
「胃癌治療ガイドライン」で示された絶対適応病変である、
「胃癌治療ガイドライン」で示された適応拡大病変である、
ただし切除した組織を病理組織検査した結果、腫瘍の脈管侵襲が陽性の場合、腫瘍が粘膜下に浸潤している場合、切除断端が腫瘍陽性の場合は、外科手術が必要です(ただし、3cm以下の分化型で粘膜下への浸潤が500μm以内であれば、内視鏡治療のみで終了となります)。
- ■外科手術
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内視鏡手術の適応から外れる場合はリンパ節郭清をともなう外科手術の適応となります。
このうち病変の占居部位が胃の下部2/3に存在する症例では、腹腔鏡補助下胃切除術を行います。当院ではへそ下に約1.5cmの切開創と左右側腹部に1-1.5cmの切開創・上腹部に約5cmの開腹創をおき、おこないます。
従来上部早期胃がんには開腹下に胃全摘術が行われてきましたが、当院ではH20年4月以降は腹腔鏡補助下に胃全摘をおこなっています。また、胃の働きの温存を考慮し、噴門側約1/2の胃切除を行い残胃から食道への胃液の逆流を予防するため約15cmの空腸を食道と残胃の間に間置する術式を採用し、消化機能の温存をおこなう場合もあります。H21年以降はこの手術も腹腔鏡を用いて行っています。
いずれの場合も、リンパ節は原則D1+郭清を行います。
- 進行胃がん
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術前検査で明らかなリンパ節転移を認める場合と腫瘍の深達度が漿膜下より深い場合は開腹手術を行います。それ以外の症例では腹腔鏡補助下に胃切除を行います。基本的には胃の一部を残し十二指腸と吻合する手術を行います。病変が胃上部に及ぶ場合は胃全摘とリンパ節郭清の必要性から脾臓の合併切除を行います。
リンパ節は2群郭清以上を行います。 - 化学療法
- ■補助化学療法
手術により病変が切除できた場合に、再発を予防するために行う抗がん剤治療を補助化学療法といいます。2006年にステージⅡ・Ⅲの胃がんに対し抗がん剤TS-1の投与が胃がん再発率を低下させるという結果が示されました。当院でも以前からステージⅡ以上の患者さんに対しTS-1の内服をお勧めしてきました。ただし投与は強制的ではないため、患者さんと相談の上決定します。
- ■再発・進行胃がんに対する化学療法
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病気の広がりから手術により、患者さんに過度の侵襲が加わることが予想される場合と、4型胃がん(スキルス胃がん)の患者さんの一部では胃を切除せず、抗がん剤治療を行う場合があります。この場合、TS-1やゼローダなどの5-FU系抗癌剤の内服とシスプラチンの点滴治療を行います。また、胃がん組織では癌細胞の表面にヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)が存在する場合があり、この受容体をブロックすることで癌の成長が抑えられることが知られるようになりました。当院でもこの受容体の検査をおこない、受容体を認めた患者さんではハーセプチンをいう、ブロック薬剤(分子標的薬)を導入しています。
再発を認めた場合、補助化学療法を行っていない場合あるいは補助化学療法終了後6ヶ月以上経過した患者さんではTS-1やゼローダなどの内服治療を行います(ゼローダではシスプラチンを併用します)。補助化学療法6ヶ月以内の場合、現在わが国では二次選択薬の標準治療はありません。当院では外来でパクリタキセルやCPT-11の点滴治療を行い、効果をあげています。これらの治療には薬物管理の専門的知識が必要です。このため当院では、これらの治療は「がん薬物療法専門医」がおこなっています。
- 退院後の生活
外科手術を行った場合、術後約2週間で退院が可能です。退院前には医師・看護師・栄養士・薬剤師などから構成されたNST(栄養サポートチーム)からの栄養指導が行われます。
退院後は原則全ての患者さんの経過を病棟での担当医が、外来でも定期的に診察します。
- 早期胃がん
- ○おわりに
当院では可能な限り臓器の機能を温存しつつ、がんを完全に取り除く治療を目指しています。胃がん治療について相談がありましたら、当院の専門医にご相談ください。
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