医療法人 恵佑会札幌病院

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治療方針

苦痛の少ない検査を目指して

内視鏡センターでは、上部消化管内視鏡検査(食道、胃、十二指腸)、大腸内視鏡検査、超音波内視鏡検査、気管支内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆管膵管検査、その他内視鏡を用いた種々の治療を行っています。

内視鏡検査においてご希望の方には、検査時に鎮静剤や鎮痛剤の注射を行います。そのため、より苦痛の少ない検査を受けることが可能です。実際検査を受けられる殆どの方が苦痛を軽減させる注射を希望されています。検査後に注射の影響が少し残るため、その日一日は車の運転等は控えていただきますが、検査自体は楽に受けることができ、中には内視鏡検査のことは全く覚えていない方もいらっしゃいます。さらに、嘔気等が少なくなり、検査医もよりしっかりした検査ができます。

検査当日にご自分で車の運転を予定されていれる患者さんには、そのような注射はせずに胃内視鏡検査でしたら他の病院と同じようにノドに入れる麻酔の薬と胃の動きを抑える注射のみで検査を受けていただいています。もちろん細くて鼻から挿入できる経鼻内視鏡も用意してあります。

内視鏡器具の洗浄・消毒は、人体や環境に無害な電解水を用い、一検査ごとに確実な消毒を行っていますので安心して検査を受けていただけます。また、国内では珍しくプライバシーに配慮した1台ずつの個室となっている検査室や、検査後に休んでいただく内視鏡室専用の回復室も充分な広さの設計になっており、施設面でも患者さんが安心して検査を受けていただけるように配慮しています。

大腸内視鏡検査

大腸ポリープは大腸がんと密接な関係があり、大腸ポリープを10年間放置すれば約10%ががんになると考えられています。

日本では大腸がんで年間、人口10万人当り約20人が死亡しています。日本人に最も多い胃がんの死亡率の約半分ですが、胃がんが減少傾向にあるのに対して、大腸がん、中でも結腸がんは増加傾向にあります。もっとも、大腸がんはがんの中では比較的治りやすいとされ、半分以上が治ることから腸がんの発生率は人口10万人当り50人程度と考えられます。

大腸内視鏡検査に使用する当院のスコープは直径1.3cm、長さ130cmです。肛門からスコープを挿入しほぼ身長と同じ長さの腸管を折り畳みながら奥へ進めるので、実際は約80cmしか身体の中に入りません。検査時間は10~20分間前後ですが、ポリープ切除術の場合、数が多いと1時間かかることもあります。

以前は、大腸内視鏡検査は患者さんにとって非常に痛くて辛い検査でしたが、現在では熟練した専門医が行なえば全く痛みはありません。但し、10人に1人位の割合で癒着がある場合その部分を通過するときに一時的に痛みを感じることがあります。

1.前処置

大腸には便が貯っているので全部排泄しないと検査ができません。見逃しをなくすためにも又検査を楽に短時間で終了させるためにも、腸管の洗浄は最も大切です。

■通常の人
1)食事

前日は当院の売店で販売している検査食(1日分1575円【税込】)のみを食べていただきます。検査当日は検査が終わるまで飲食は厳禁です。口渇や空腹が強いときは、水コップ1杯、あめをなめる程度なら構いません。タバコは禁止です。

2)腸管洗浄液(ニフレックなど)の服用
腸管洗浄液を調合して1,800~2,000ccを約2時間かけて飲みます。開始時間は午前の検査の人は当日の5:00amから、午後の検査の人は当日の7:00amから飲み始めます。飲み方は10分毎にコップ1杯200ccをなるべく一気に飲みます。途中で飲めなくなった人は、無理をすると吐いてしまうので後半はゆっくり時間をかけても結構です。但し、できるだけ早く飲んだ方が効果は上がります。

3)排便
腸管洗浄液は全く吸収されないので飲んだ分がそのまま排泄されます。通常飲み始めて1~2時間でトイレに行きたくなり5~6回排便がありますが、人によっては 10回以上排便する人もいます。下剤と違って腸に対する刺激が無いので腹痛やトイレに駆け込む等の心配はありません。 注意:腸管洗浄液は、冷えた方が飲みやすいですが、冷たいものを大量に飲むので体温が冷えます。充分温かい部屋で厚着をして飲んでください。

■便秘がちの方(胃、腸の手術をしている人も含まれます)

検査前日の食事は検査食になります。就寝前に下剤を飲みます。当日は通常の人と同じく腸管洗浄液を1,800~2,000cc飲みます。

2.排便の確認

腸管洗浄が理想的に行なわれると5~6回の排便で、便が水のようになり黄色~無色透明となります。もしまだ固形物が混ったり、濁りがあれば看護婦に報告して下さい。浣腸を2~3回追加することがあります。また、腸管洗浄液を飲み終えても排便の無いときは病院に電話をして指示に従って下さい。

3.検査の流れ

順番になったら、内視鏡室の更衣室で検査衣に着替えます。下半身の下着は全部脱いでいただきます。検査衣は肛門に当たる部分に径5cmの穴のあいたズボンと腰が隠れる長さの上着からなっています。次いで検査室に行きベッドに横になって注射を1回で3種類します。1種類目は腸管の運動を止めるための薬、2種類目は精神安定剤、3種類目は鎮痛剤です。

いよいよ検査が始まります。左を下にして横になり医者が肛門にゼリーを充分ぬりスコープを挿入します。意識はありますが注射のせいで頭がぼーっとした状態になります。個人差はありますが、検査終了後30分から1時間で元に戻ります。検査終了後しばらく回復室で休んでいただきます。

注意:検査後ベッドで安静にする時間が短すぎると体質によってはまれに吐き気が出現します。検査後、当日は車の運転は禁止です。

検査が終わって気分が落ちついたら食事が出来ますが、ポリープを切除した場合は絶食と点滴をすることがあります。医者の指示に従って下さい。大きなポリープを切除した方は通常4~5日間位の入院が必要となります。

注意:検査後ベッドで安静にする時間が短すぎると体質によってはまれに吐き気が出現します。検査後、当日は車の運転は禁止です。

4.組織学的検査

ポリープを切除した場合、その組織を検査します。顕微鏡で細胞をみて良性か悪性かを診断します。

5.経過観察

ポリープを切除した場合は6カ月以内に再度大腸内視鏡検査をします。大腸ポリープは大腸の構造上,一回だけの検査では見逃しや再発の可能性があるためです。その後も定期的に年一回内視鏡検査をする必要があります。検便だけでは不十分です。

6.大腸内視鏡検査による合併

ポリープを切除した場合は6カ月以内に再度大腸内視鏡検査をします。大腸ポリープは大腸の構造上,一回だけの検査では見逃しや再発の可能性があるためです。その後も定期的に年一回内視鏡検査をする必要があります。検便だけでは不十分です。

  1. (1) スコープの挿入により、ごく稀に腸に穴があくことがあります。その場合手術になることがあります。
  2. (2) 極めて稀なケースですが、ポリープ切除の場合は、出血及び穿孔(腸に穴があく)の危険があります。出血は殆ど内視鏡で止めることができますが、穿孔は手術になることがあります。
  3. (3) 当院では合併症により死亡した例はありません。全国的にも死亡事例は多くありません。
がん専門病院の内視鏡医は何をしているのか ~ 主に早期胃がんについて ~
  • ・内視鏡(胃カメラ)で病気を発見し、どのような病気か(良性か?悪性か?)評価します。
  • ・がんを見つけた場合、そのがんが内視鏡で切除できるのか、外科手術が必要なのかを見極めます。この見極めは難しいため、経験やトレーニングが必要です。
  • ・がんの内視鏡診断の手助けとなるものとして、後述する超音波内視鏡検査やNBI拡大内視鏡検査があります。
  • ・近年、内視鏡治療用デバイスの進歩により、多くの病気を内視鏡で治療することが可能になりました。

*当院では部位別(食道・胃・大腸)にエキスパートがおりますので、受診の際おたずね下さい。

超音波内視鏡 EUS:Endoscopic Ultrasonography

●超音波内視鏡(EUS)とは?

胃がんの治療方針を決定するうえで、壁深達度(胃壁にはった根の深さ)は非常に大切な因子です。この深達度を診断するのに用います。その他に、胃壁近傍の転移リンパ節の診断や、粘膜下腫瘍の質的診断に用います。 胃の中に水を注入して行う検査で、通常の内視鏡よりも時間のかかることが多いため、当院では鎮静剤使用下に行っています。

NBI:Narrow Band Imaging

●NBI拡大観察とは?

光学的な画像処理技術により、粘膜表面の血管や微細構造をより鮮明に観察することが可能になりました。 当院では胃がんの内視鏡治療前の精密検査(主にがんの広がりを評価する)で用いています。通常の内視鏡よりも時間のかかることが多いため、EUS同様に鎮静剤使用下に検査を行っております。

超音波内視鏡 EUS:Endoscopic Ultrasonography

  • 胃壁の筋肉(矢印)から発生した 粘膜下腫瘍です。

  • 粘膜下層(胃壁の2番目の層)に浸潤(矢印)していることが分かります。
NBI:Narrow Band Imagingの実際

  • 胃の入り口にできた早期胃がんです。

  • 色素を散布して広がりをみています。

  • NBIに切り替えたところです。

  • 病変の広がりが腺管単位で分かります。
早期胃がんの内視鏡治療
早期胃がんの内視鏡治療

早期胃がんのうち分化型粘膜がん(比較的おとなしく根の浅いがん)の多くは、内視鏡を用いた経口的な治療が可能です。7~10日間の入院治療となります。 当院では、多くの病変の胃がん・胃腺腫に対して内視鏡治療を行っております。治療数の推移は医療実績紹介のグラフをご参照下さい。

内視鏡的粘膜下層剥離術
ESD: Endoscopic Submucosal Dissectionとは?

近年開発された内視鏡治療用デバイスを用いた早期がんの治療法です。 従来の内視鏡治療と比較して、病変をきれいに切除することができるために再発がほとんどありません。 現在、早期胃がんに対する内視鏡治療において本法が標準的な治療法となっておりますが、正確で安全な切除には熟練を要します。

ESDの適応と合併症に関して

当院での内視鏡治療の適応は、自験例(*)と多数例の報告をふまえて、院内カンファレンスで決定されたものです。
*過去に院内で外科手術された多数の単発早期胃がんを病理組織学的に詳細に解析し、以下の病変郡にリンパ節転移のないことを確認しております。

  1. 分化型粘膜がん・潰瘍合併(-)・size制限なし。
  2. 分化型粘膜がん・潰瘍合併(+)・≦3cm
  3. 未分化型粘膜がん・潰瘍合併(-)・≦1cm以下

    注:いずれも脈管因子陽性例は外科手術適応。
    注:粘膜下微小浸潤がんの対応はケースバイケース。
    注:未分化型がんは術前内視鏡で1cmを越えるものは外科手術適応。

ESDは優れた治療法ですが、従来の粘膜切除術と比較して、合併症の頻度が高いとされております。 当院では、2004年4月から2009年3月までに計659病変の胃がん・胃腺腫に対し、ESDを行っております。
合併症の頻度は、5年間の平均で、穿孔3.1%、術後出血3.6%(2008年度は穿孔0.5%、術後出血2.9%)でした。
治療前に担当医から丁寧な説明がありますので、ご不明な点はご遠慮なくおたずねください。

消化器内科
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