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前立腺がん

恵佑会札幌病院泌尿器科
平川和志
恵佑会札幌病院 院長(現社会医療法人恵佑会 副理事長) 谷口明久 泌尿器科部長 
小林智治 泌尿器科医師 佐藤泰之 泌尿器科医師


恵佑会札幌病院泌尿器科
平川和志
恵佑会札幌病院 院長(現社会医療法人恵佑会 副理事長) 
谷口明久 泌尿器科部長 
小林智治 泌尿器科医師 
佐藤泰之 泌尿器科医師

前立腺とは?

前立腺とは?

尿になやむ人のイラスト

前立腺とは膀胱の真下にあるクルミほどの大きさの器官で、膀胱から伸びた尿道を取り巻いています。
成人では重量15~17gほどで精液の一部を分泌し、また排尿や射精のコントロールにも関与していると考えられています。
また、肛門から直腸に指を入れて触診すると、前立腺の状態を確認できます。

特徴、原因は?

特徴、原因は?

前立腺がんは検診方法の確立とともに年々増加しているがん種の一つです。
発症には年齢が関係していると考えられており、患者さんの90%以上が60歳以上で、70歳以降で発症率が高まります。男性ホルモンもまた前立腺がんの発症と進行に関係していることがわかっています。
その他の原因としては肉類、乳製品、卵などの動物性脂肪を過量摂取すると前立腺がんのリスクが高まるといわれていますが、はっきりとは証明されていません。
また、遺伝的要因との関連があるのが特徴で、父親か兄弟に前立腺がんになった人が1人いると前立腺がん発症リスクは2倍、2~3人では発症リスクは9~11倍になるといわれています。

症状は?

症状は?

前立腺がんの初期には症状はほとんどありません。
しかし、がんが進行して尿道を圧迫し始めると、尿失禁や頻尿、尿勢の低下など排尿障害がおこります。
これらは前立腺肥大症の症状とよく似ているため注意が必要です。

検査は?

検査は?

まずは血液検査にて血中PSAを調べます。PSAは「Prostate Specific Antigen(前立腺特異抗原)」の略で、前立腺から分泌されるたんぱく分解酵素です。細かい話もありますがざっくりと4.0ng/ml以下が正常と言われています。


ただし前立腺肥大症や前立腺の炎症でも上がりますので、4.0を超えたからといってすぐに悪性が疑われるというわけでもありません。
また、直腸診で触診し、硬さ、大きさ、表面の凹凸を評価します。前立腺がんが疑わしいときはさらにMRIを用いて画像評価を行い、がんの評価を行います。

 

しかし、これだけでは確定診断に至りませんので、確定診断には前立腺針生検を行う必要があります。これは前立腺に針を刺し組織の一部を実際に採取し、がん細胞の有無を確かめる方法です。当院では1泊2日で下半身麻酔にて検査を行っています。
その後細胞の結果が出て残念ながら悪性所見がみられると、まずは病期の確認のため全身スキャンが行われます。前立腺がんは骨に転移しやすいがんであるため、その有無を確かめるための骨シンチグラフィーおよびリンパ節や肝、肺に転移していないかをCTにて確かめます。

治療方法は?

治療方法は?

病期を確認した後、進行度に応じて初回の治療を選択します。
前立腺に限局するがんの場合、手術療法や放射線を当てる方法があります。それぞれ治療成績は同等とされておりますので、長所短所を見極めて患者さん自身で決めてもらうことになります。また、ごく初期の悪性所見で一定の条件を満たす症例ではPSA監視療法(治療せず経過観察する)をすることもあります。
残念ながら全身に転移があった場合は内分泌療法が選択されます。前立腺がんを増殖させる男性ホルモンの働きを抑え、がん細胞の分化・増殖を抑えます。


ただし最近では少量の骨転移のある症例では内分泌療法施行後前立腺の局所治療(手術、放射線療法)を積極的に行うことで生存期間を延ばすことができるといわれており、当院でも同様の治療を行っています。

恵佑会ならではの取り組みは?

恵佑会ならではの取り組みは?

エコー融合画像
MRI-エコー融合画像によるリアルタイムガイド下前立腺生検(BioJet®を用いた前立腺生検)

恵佑会では、前立腺がんの患者さんの診断から治療、終末期医療までを同一科で一貫して行っております。
最近では前立腺がんの検出の精度をあげるべく先進医療である“MRI-エコー融合画像によるリアルタイムガイド下前立腺生検(BioJetRを用いた前立腺生検)”を行っております。検査前に撮影されたMRIを実際に検査で使用するエコー像に重ねることで、MRIでがんの指摘された病変をより正確に生検することができる方法で、日本でもこのシステムを導入している病院はほとんどありません。

手術用ロボットのダヴィンチ
前立腺などの摘出に用いられる手術用のロボット「ダ・ヴィンチ」。医師がモニターを見ながら、ロボットのアームを遠隔操作する

手術療法は全例ロボット支援下腹腔鏡下前立腺全摘除術(RARP)にて行っており、全国でも有数の症例数を誇っております。また、放射線療法も最新機器を導入し強度変調放射線治療(IMRT)にて行い、副作用の少ない放射線療法を行っています。
恵佑会では患者さんのがんの病期、症状に応じて様々な治療が可能であり、またより先進的な取り組みも行っており、前立腺がん治療の可能性を広げています。

恵佑会札幌病院泌尿器科の4名の医師。左より、佐藤泰之医師、谷口明久泌尿器科部長、平川和志恵佑会札幌病院院長、小林智治医師

恵佑会札幌病院泌尿器科

左より、
佐藤泰之 泌尿器科医師
谷口明久 泌尿器科部長
平川和志 恵佑会札幌病院副理事長
(1997年より恵佑会札幌病院泌尿器科部長を経て、2010年院長、2018年副理事長に就任。泌尿器科指導医・専門医。)
小林智治 泌尿器科医師