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腫瘍内科は何をする科?

  • 奥田博介 恵佑会札幌病院 腫瘍内科部長


腫瘍内科では抗がん剤治療を行う

がんの治療には四大療法、つまり手術療法、放射線療法、化学療法、免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)があります。腫瘍内科はがんの薬物療法を担当する科です。当科では、主に胃や大腸などの消化器のがんと原発不明がんの治療を担当しています。


がん薬物療法は単に患者さんに抗がん剤を投与すればよいというものではありません。抗がん剤治療にはメリットとデメリットがあります。腫瘍内科は、デメリットである副作用の管理を行いながら、抗がん剤の最大の効果=メリットを引き出すのが目標・目的になります。

腫瘍内科では、患者さんのがんの状態によって、治療目標を設定しています。たとえば、ある患者さんでは手術前または後にがんが再発しないことを目的に抗がん剤治療(補助化学療法)を行い、がんが治る可能性を高めます。

一方、手術や他の治療を行ってもがんが治る可能性が低い場合には、患者さんやご家族と治療目標を話し合いながら、治療を進めていきます。


抗がん剤治療は入院が必要?

抗がん剤治療は、かつては入院して行うのが一般的でしたが、現在では外来でも可能になっています。抗がん剤治療には吐き気などの強い副作用がある、というイメージをもたれている方も少なくないと思いますが、吐き気などの副作用を抑える薬剤の開発など支持療法も進歩してきたため、多くの患者さんが仕事や普段通りの生活を続けながら、外来で治療を受けることができるようになりました。
患者さんの生活の質を保ちながら、抗がん剤治療を続けていくのが、腫瘍内科の役割の一つです。私自身も患者さんはなるべくご自宅で過ごす時間が長いほうが望ましいという信念で治療にあたっています。ご自宅で生活することができれば、好きな物を食べたり、気楽にできたり、入院では考えられないような暮らしが可能なのです。
当院では、2000年から外来で化学療法を始め、年間でおよそ4,000件の治療を行っています。

「有効」と「安全」のバランスを重視

抗がん剤治療には、「有効」という柱と「安全」という柱があります。薬の量を減らしたら、副作用も減るため「安全」ですが、がんに対しての治療効果も減じるため「有効」ではありません。逆に、薬の量を増やしたら、がんには「有効」かもしれませんが、副作用の面を見れば「安全」ではありません。
腫瘍内科では、患者さんのがんの状態、抗がん剤の効果と副作用、そして患者さんの生活の質 (QOL)を考え、「有効」と「安全」のバランスを重視しながら、治療を進めています。

恵佑会ならではの取り組み

当院の腫瘍内科では、医師だけではなく、看護師や薬剤師など抗がん剤治療の専門スタッフが一丸となって患者さん一人一人に対応しています。日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医という、抗がん剤治療のエキスパートの資格をもつ医師が2名おり、さらにがん化学療法看護認定看護師2人が、がん薬物療法認定薬剤師とともに、リーダー的な役割を果たしています。

抗がん剤治療は入院から外来ヘシフトしているため、患者さんの家での生活の様子や副作用の状況をもとに、当日の治療内容を決めますが、外来での限られた時間内に患者さんの訴えや家族からの情報を聞くのも、がん化学療法看護認定看護師やがん薬物療法認定薬剤師の仕事の一つ。高い専門性があるからこそ対応が可能なのです。
また、当院は全国規模の臨床試験の研究グループに参加し、新しい化学療法の開発にも関与しています。

当院はがん遺伝外来を設けています。遺伝的にがんになりやすい体質をもっている方がまれにいて、遺伝学的検査をご希望される方にはそのメリット・デメリットを一緒に考え、より専門的な遺伝医療を求められれば札幌医科大学附属病院へご紹介しています。
当院は昨年4月にがんゲノム医療連携病院となり、6月から保険適用にもなったがん遺伝子バネル検査にも対応しています。これは一度に複数のがんに関連する遺伝子変異を調べることで、治療方針決定の補助を目的とした検査です。ただ、保険適用の要件が限られているため、現状では誰もが簡単に受けられるわけではありませんが、関心がある方はご相談ください。


  • 腫瘍内科のスタッフ
  • 外来の化学療法室

奥田博介 おくだ  ひろゆき


1971年、弟子屈町生まれ。95年、札幌医科大学卒業。市立釧路総合病院、札幌厚生病院などを経て、2010年より恵佑会札幌病院腫瘍内科に勤務。日本臨床腫瘍学会指導医、同学会がん薬物療法専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本消化器病学会消化器病専門医など。