vol.16 院内保育所
恵佑会は札幌病院内に保育所を設置し、乳幼児のいる職員を支援しています。
利用者からは、安心して働くことができる、と好評です。
仕事と家庭を両立させるうえで保護者にとっても子どもにとってもメリットの多い院内保育所。
保育内容や利用者の声をご紹介します。
保育ルームで4月に初めて行われたジャグリングのイベント。札幌病院の明神一宏医師(循環器外科・非常勤)と女性ボランティアのお二人がピエロに扮し、子どもたちに皿回しや手品などのジャグリングを披露しました。
約30分間、子どもたちは時には笑いながら、時には興味津々の眼差しで、ピエロたちのパフォーマンスを楽しんでいました。明神医師とボランティアのお二人は「札幌ピエロフリーク」というグループをつくり、札幌市内の病院の院内学級などに赴いて活動を行っています。
恵佑会は昨年4月、子育てをする職員の就労をサポートするため、院内保育所を設置しました。生後57日から就学前までが対象で、現在は8カ月から2歳7カ月までの子ども14人の保育をしています。スタッフは保育士6人と調理師1人です。
豊かな心と集団生活のルールが習得できるように、子どもに合わせたきめ細やかな対応、外遊びや制作活動、絵本の読み聞かせなどを通して、日々子どもたちと関わっています。
ひな祭りやハロウィンなど年間行事にも力を入れ、保護者も一緒に参加できるような家庭的な保育所、保護者が仕事を終えた後に笑顔で迎えてくれる子どもを見てほっと一息つけるような保育所を目指しています。
保育所の運営を委託しているのは、現在107施設を運営する株式会社プライムツーワンです。
恵佑会は、今後も保育所内で子どもと保護者に対して多岐にわたる支援を行い、働きやすい職場づくりを進めていきます。
利用者の声
利用者の声
授乳に行く度に満面の笑顔に元気をもらう
授乳に行く度に満面の笑顔に元気をもらう
上田 敬子(恵佑会札幌病院 緩和ケア内科医師)
今年4歳になる長女は、病院から車で10分の認可保育所に預けました。生後2カ月で預けたために、仕事の合間に1日2回ほど、母乳を専用の機械で絞り冷凍保存して、毎日保育所に運んでいました。当院には女医専用の部屋があったので場所には困らなかったのですが、時間も手間もコストもかかり、苦労して届けた母乳は保育士さんが哺乳瓶であげてくれるのですが、タイミングが合わずに溶かして無駄になってしまったり、哺乳瓶に慣れてしまい直接母乳を飲むことを拒否した時期があったり…。また職場復帰後しばらく経つと、直接吸われなくなることで母乳産生ホルモンが減少するため搾乳ができなくなり、結局生後6カ月で日中の母乳は諦め保育所ではミルクにしたのですが、牛乳アレルギーが発覚し保育園と職場を授乳のため往復したり…。一人目の情熱と若さがあったからできたことで、二人以上の育児をしながらこの心身のストレスにまた向き合う自信は無いかも…と思ってた頃に、院内保育所ができたので、2カ所に預ける手間と不安はあったのですが、次女の授乳期だけでもとお願いしました。そのため3月現在で8カ月になる次女は、母乳だけで成長しすぎなくらい成長し(長女は母乳量のせいなのか1歳頃までは平均範囲内ながら下限ギリギリの体重でした)、保育所でインフルエンザなどいろんな流行があった時にも我関せずでした(母乳育児を続ける方がより免疫力が強い、とのデータもあるそうです)。
早期に職場復帰することで、罪悪感のようなものを感じたり、周囲に「こんな小さいのに預けて可哀相」などと言われる女性も多いですし(自分がそうでした)、周囲の女医は結婚や出産を機に医師を辞めたり長期休業してしまう例も多かったのですが、“直接授乳に行ける”“1日数回でもスキンシップの機会がある”“何かあればすぐ行ける”、そんな場所に保育所があることで、長女の時に感じた『母親としての至らなさ』感はかなり減りました。授乳に行く度に満面の笑顔に元気をもらい、また頑張ろうと仕事に戻る、そんな毎日に母子ともに安心感を与えてもらっています。
社会の変化、個人の生き方の変化に伴い、子どもを預ける場所がなく働けない、子どもと過ごしたいけど働かざるを得ない、復帰はしたけれど出産前と同じ働きができないジレンマなど、いろんな場合がありそれぞれの苦労があると思いますが、母子ともに安心して預けられる環境が少しでも増えるなら、昨今よく言われる「女性が輝く時代」を、なんとかやっていけるのではないか、そう思いつつ今日も働いています。
勤務時間にも授乳やスキンシップ。親も子も安心できる
勤務時間にも授乳やスキンシップ。親も子も安心できる
田島 裕代(恵佑会札幌病院 看護師)
出産後、3カ月で復職と同時に子どもを院内保育所に預かってもらうことになりました。
以前は、通常の保育園なら母乳育児は大変で、あきらめることも考えていました。しかし、当院の院内保育所の場合は、勤務時間内に授乳やスキンシップを行いにいくことが可能であり、これが院内保育所の利用を決めたきっかけにもなりました。復職して、産まれてからずっと一緒だった子どもと離れた時間を持つことの不安も少なかったです。
復職後は勤務の中で授乳時間を考慮してもらい、実際に毎日授乳しに行くことが出来ました。周囲のスタッフも協力的で理解がありました。また、保育所での子どもの生活ぶりを見に行ったり、ふれあいの時間を持ったり、離乳食を食べさせに行くこともありました。
会いに行く度に子どもが嬉しそうにニッコリと笑う顔を見ると、母親である自分自身も安心でき、その後の仕事への意欲にもつながりました。子どもとのスキンシップは、子どもに安心感を与えるとともに、仕事をしながら育児を続けていくことに対する母親の不安も解消するのではないかと思います。
現在、1歳になった我が子が、毎日ニコニコしながら登園している姿を見ていると、当院の院内保育所のあり方が子どもの情緒を安定させているのではないかと感じます。
授乳やスキンシップに協力的な職場環境は、働きながら子育てする親にとって大変心強く、有り難いです。これからもこういった職場環境が増えることにより、子育てする女性にとって働きやすい社会につながるのではないかと思います。