呼吸器外科 治療方針
当科で扱う代表的な疾患について説明します。
肺がん
肺がん
肺がんとは
肺の中の細胞ががん化して増える病気です。
日本では、男女ともに多いがんの一つで、年齢とともに増える傾向があります。
早期には症状が出にくく、健診や他の病気の検査をきっかけに見つかることも少なくありません。
一方で、進行すると、
・咳が続く
・息切れ
・血痰
・胸の痛み
などの症状が現れることがあります。
検査と診断
肺がんが疑われる場合、次のような検査を組み合わせて行います。
・CT検査
・PET検査
・気管支鏡検査 など
これらにより、がんの性質・広がりを評価します。
同時に、呼吸機能や心機能、内臓機能なども確認し、どういった治療が可能なのかという判断を行います。
治療の考え方
病気の進行度、身体の状態、患者さんの希望を踏まえ、複数の選択肢の中から最適と考えられる方法を選びます。
主な治療法
手術
がんを取り切れる可能性がある場合、手術は重要な選択肢です。
当科では、
・肺をできるだけ残す手術
・低侵襲(体への負担が少ない)手術
を重視しています。
しかしながら進行したがんを取り切るために、
・拡大手術(隣接臓器合併切除など)
を選択肢とすることもあります。
【手術のアプローチ】
肺への到達方法は、開胸と胸腔鏡という方法があり、手術支援ロボットを用いた手術も行われます。どの方法を選択するかは病気の進み具合や患者さんの状態(体力、体型、肺の状態)等で決めますが、どの手術でも、肺そのものを切除する手順や範囲など手術の内容はほぼ同じです。
胸腔鏡手術・開胸手術・ロボット支援手術の選択においても最適な手段を提案いたします。
・開胸
(利点)直接肺や腫瘍を目で見て直接手術操作ができるため緊急時の対応が早い。血管形成などの大きな手術には必要。
(欠点)創が大きいため術後の痛みが強い可能性、美容上の問題。
・胸腔鏡
(利点)創が小さいため、術後の痛みが軽く、回復が早い。美容上優れている。
(欠点)手術操作がやや制限され、出血時の対応に遅れが生じる可能性がある。
・ロボット
(利点)従来の胸腔鏡手術と同様(手術操作中に胸壁にかかる負担が従来の胸腔鏡手術よりも少ないと考えられています)で、創が小さいため、術後の痛みが軽く回復が早い。美容上優れている。精密な操作に優れる。
(欠点)胸腔鏡手術と同様。
【肺の切除範囲】
肺葉切除、肺区域切除、肺部分切除、肺全摘があります。切除範囲は、肺癌か否か、病変の進み具合、肺機能、全身状態で決めます。
・肺葉切除:腫瘍を含めて肺葉を摘出する方法で肺癌に対する標準術式です。
・肺区域切除:腫瘍を含めて肺葉内で解剖学的に分かれた部屋(肺区域)をいくつか摘出する方法で、小型肺癌や低肺機能の患者さんに対して行う術式です。
・肺全摘:腫瘍を含めて片側の肺を全部摘出する方法で、中枢に位置する大きな腫瘍の場合に行います。
抗がん剤・免疫療法
がんが進行している場合や、手術の前後などに行います。近年は、免疫療法を組み合わせた治療も行われています。がんの遺伝子変異検査などを行い、最適な薬の組み合わせを決定します。入院で行うか、外来で行うか、投与スケジュールなどは使用する薬剤や患者さんの状態によっても変わります。治療計画にはその点も含めて説明いたします。
放射線治療
手術が難しい状態の方や、抗がん剤と組み合わせることで根治を目指した治療として行うことがあります。また脳転移や骨転移などの状態において、局所制御や疼痛などの症状緩和を目的として行うこともあります。
緩和ケア
症状を和らげ、生活の質を保つことを目的とした治療です。治療の早い段階から並行して行うこともあります。
当科での肺がん治療
当科では、手術・抗がん剤治療の両方を担当しており、治療の段階が変わっても、一貫した方針で診療を行います。
・抗がん剤や免疫療法を行ってからの手術
・放射線治療後の手術
・手術が難しい局所進行肺がんへの対応
こうした治療についても、患者さん一人ひとりに合わせて検討します。
縦隔腫瘍
縦隔腫瘍
縦隔とは
胸の中央にあり、心臓・大血管・気管などが存在する場所です。
ここにできる腫瘍を、縦隔腫瘍と呼びます。
縦隔腫瘍の特徴
良性から悪性までさまざまな種類があります。症状がない場合が多く、健診や他の検査で偶然見つかることも少なくありません。
治療法
経過観察が可能な場合もあれば、手術が勧められる場合もあります。
手術が必要な場合は、根治性と負担を考慮して術式を選択します。
当科での治療
当科では、胸腔鏡やロボットを用いた低侵襲手術を積極的に行っています。
腫瘍の位置や性質に応じて、安全性を最優先に治療法を決定します。
気胸
気胸
気胸とは
肺に穴が開き、空気が漏れることで肺がしぼむ病気です。
若い方に多いタイプと、肺の病気が背景にあるタイプがあります。
主な症状
・突然の胸の痛み
・息苦しさ
などが見られます。
治療
・安静で治る場合(入院、外来観察)
・処置が必要な場合(胸腔穿刺・ドレナージ)
・再発を防ぐために手術を行う場合
があります。
当科での気胸治療
胸腔鏡手術を中心に、体への負担を抑えた治療を行っています。
再発の可能性を考慮し、将来を見据えた治療を提案します。