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vol.28 緩和ケア内科は何をする科?

※このページの内容は、恵佑会だより発行時点のものです。

  • 鈴木茂貴 恵佑会札幌病院 緩和ケア内科副部長


緩和ケア内科の目的はがんによるつらさをやわらげること

緩和ケア内科の目的はがんによるつらさをやわらげること

緩和ケア内科は患者さんのがんによるさまざまなつらさをやわらげることを目的とした診療科です。
痛みやだるさ、息苦しさ、吐き気などの体の症状だけではなく、不安などの精神的なつらさ、これには家族や仕事などに対する社会的な不安も含まれますが、こうしたつらさが少しでも楽になるように総合的に対応しています。


緩和ケア内科では、がん患者さんの苦痛をやわらげ、「生活の質(QOL=QualityOf Life)」が少しでも良くなり、患者さんが自分らしい生活を送れるような医療に取り組んでいます。

つらさに対してどんな治療を行う?

つらさに対してどんな治療を行う?

体のつらさをやわらげるための治療法は、痛み止めなどの薬が基本になります。患者さんの状態に合わせて、安全面も考慮しながら、薬を段階的に調整していきます。


精神的なつらさに対しては、薬を調整するだけでなく、患者さんの訴えに耳を傾けてつらい気持ちに寄り添っていけるようスタッフー同で対応しています。

より専門的な対応が必要な場合には、精神科の専門医からアドバイスをいただくこともあります。

現代のがん患者さんは様々な種類のつらさで悩んでいます。医師や看護師だけでなく薬剤師、医療ソーシャルワーカー(MSW)、栄養士など多くの専門家が患者さんに関わることによって様々な角度からつらさの軽減を図っています。

がんの治療中に体調を整える役割も

がんの治療中に体調を整える役割も

緩和ケアに対して、がんの終末期の患者さんがかかるところ、つまり終末期医療を行うというイメージをもたれている方も多いかと思いますが、決してそれだけではありません。


がんの早期の段階から苦痛をやわらげ、生活の質を向上させることも役目の一つです。外科や腫瘍内科でのがんの治療中に痛みが強くなったり、体調が悪くて抗がん剤治療が続けられない場合など、緩和ケア内科に一時的に移って痛みを抑えたり、体調を整えてから、元の科に戻って治療を続けるというケースもあります。緩和ケア内科にはがんの治療中に体調調整を行うという役割もあるのです。緩和ケア病棟に入院されている患者さんの中には、「体調を整えて家に帰る」という目標をたてて治療を受け、退院して在宅復帰される方もいます。


もしあなたやご家族が、がんによるつらさや悩みを抱えているなら「緩和ケア」のことを思い出してください。我々が何かお役に立てるかもしれません。

まずはいつも診察を受けている主治医の先生につらさを打ち明けて、緩和ケア内科の受診を相談してみてはいかがでしょうか。

恵佑会ならではの取り組み

恵佑会ならではの取り組み

恵佑会札幌病院の緩和ケア内科は2019年から医師2名体制になり、それぞれ病棟と外来を担当し、診療体制の充実化を図っています。
緩和ケアの資格をもつ3名の看護師(緩和ケア認定看護師)をはじめ、この分野での経験が豊富な看護師も揃っています。退院後の在宅医療については医療ソーシャルワーカー(MSW)がサポートしています。当院ではこうした専門的なスタッフがチームを組んで、主治医とも連携を図りながら総合的な緩和ケア体制を整備しています。

緩和ケアチームでは、月2回、非常勤の医師も交えチームミーティングを行っています。

一般にはがんの治療と緩和ケアは分かれていて、抗がん剤などの治療が効かなくなった患者さんが緩和ケアに切り替えるケースが多いと思います。しかし、当院ではそのように切り替えるのではなく、外科や腫瘍内科の主治医は主治医のまま、そこに緩和ケアの医師が一時的に参加する、という体制をとっています。患者さんは緩和ケアを受けてもまた元の科に戻って治療を続けることができます。治療の継続性、一貫性を重視し、各科が連携して、患者さんの状
態に合わせた質の高いがん医療を展開しています。

当院では外来を設け、入院中の患者さんだけでは緩和ケアチームではなく、当院にかかりつけではない地域の患者さんにも対応しています。今のところは他の医療機関からの紹介の患者さんが多いのですが、緩和ケアで相談したいことがあれば、当院の相談支援センターを通じて予約制でお受けしています。外来においても、患者さんの生活の質向上、患者さんがより自分らしい生活を送ることができるように支援していきます。

  • 恵佑会札幌病院・緩和ケア病棟の入院患者数と自宅(施設)退院患者数


入院患者数自宅(施設)退院患者数
2017年度244名20名(数在宅復帰率8.3%)
2018年度265名25名(在宅復帰率9.5%)

2019年度

(4月~2月)

276名40名(在宅復帰率15%)

恵佑会札幌病院泌尿器科の4名の医師。左より、佐藤泰之医師、谷口明久泌尿器科部長、平川和志恵佑会札幌病院院長、小林智治医師

鈴木茂貴 すずき  しげたか


1970年、釧路市生まれ。1995年、自治医科大学卒業。旭川医大第二外科に入局し、道内各地の病院にて外科・緩和医療に従事。2019年より恵佑会札幌病院緩和ケア内科に勤務。日本緩和医療学会会員。緩和ケアの基本教育に関する指導者研修会終了。日本外科学会外科専門医、日本消化器外科学会消化器外科専門医。